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JUNKYS JUNKYS 2014 イベントレポート



















 夜明けまえの河川敷の地面をフロントライトで照らしながら、1台、また1台、そろそろと車が集まってくる。おのおのが適当なところに車をとめて、いちばん奥の受付に歩いてくる。受付の机の上に、額のなかでちいさな明かりのスポットをあびた、モノトーンのジャンピングバスが浮かぶ。

 名前を告げ参加費をはらうと、ひきかえに、白い紙箱と、蛍光グリーンの缶バッジが渡される。紙箱をあけると、そこにはあのブラックバスのポスターがプリントされたマグカップが入っている。みな、ひとしきりカップを眺めてうんうんとうなずき箱に戻したあと、ビカビカと光るバッジをおもむろに身につける。キャップのななめ前、シャツの胸ポケット、ライフジャケットの下のはし・・・・・・今日の日のためにつけてきた、去年の蛍光オレンジのそれとならべて満足気なものもいる。
 トップウォータージャンキーのトレードマークの蝉がプリントされたこのバッジをつけてバスを釣った写真を撮ること。それがこの大会における競技の参加資格である。なんてことはぜんぜんなくて、どうにもつけたくなる魅惑のバッジなのだ。

 今年で3回目となる「JUNKYS JUNKYS」は、そもそも大会ではない。釣りの時間はあるが、釣れたバスを持ち帰ることはしないし、サイズや重さを競うこともない。はじめのあいさつのとき、ビルダーの内藤氏から「バスが釣れたら、写真に撮って、Lサイズで紙に焼いて、ぼくに下さい。いただいた方に、プラグを作ってあとでさしあげます」という、約束というか、お願いというか、説明がある。デジタルデータではなくて、L版で紙に焼くのがポイントらしい。あと、プラグはトップウォータージャンキーでなければいけない。これがルールといえばルールで、バスを釣りたいという気持ちのさきにスペシャルプラグがちらついて、いつもよりちょっとうわずった心もちで釣りをすることになる。
 
 ここ数年、ハイシーズンでもかんたんでない旧吉野川のバスフィッシング。10月も終わりとなればチャンスはさらにかぎられてくる。これを書いている私も、「パツ!」というライギョの突っつきにどきどきさせられただけのりっぱなオデコだった。が、そんななかでこの日、3人のJUNKYSがバスを釣りあげた。3人はいずれも地元徳島の釣りクラブ『シャープゼロ』のメンバー。10年をこえる歴史をもつホームクラブ貫禄の結果に、大多数の釣れなかった面々からもおしみない拍手が寄せられる(ちなみにヒットルアーは、ヴァンガード、オケラタイプ2、ファットボーイ)。
 釣れなくとも、旧吉野川にボートを浮かべてのトップウォーターバシングには、やはりここにしかない趣があったのだった。

 JUNKYS MEETINGは、釣りの時間とならぶイベントのもうひとつの柱だ。釣りを終えて、マスターがトップウォータプラッガーという「Bar calm」にふたたびみなが集まる。のれんをくぐると、さっき撮影されたばかりの写真がもう額に入って飾られている。とくべつな日に花を添えるブラックバスのヒットシーン。レッドウィングと名づけられたスペシャルカクテル(ノンアルコール)で乾杯すると、宴がはじまる。今、ここに居合わせたもの同士、他愛もない話が楽しい。お昼をすこし過ぎた頃のはずなのに、夜更けの時間がながれる。

 おなかが落ち着いた頃合いを見はからって、アナウンスが入る。ダーター「アブサン」のジョイントヴァージョンをスポット的に製作中であり、その先行予約を受け付けるのだという。ジョイントと聞いただけで、トップウォータープラッガーは反射的に色めき立ってしまう性質があるようで、会場の温度がさっとあがる。
 たたみかけるようにさらなるアナウンス。次回のレギュラーリリースはチクタク、そのJUNKYS JUNKYS参加者限定カラーをこれからみなで話しあって決める、のだという。じつはこの企画は第1回の2012年から続いていて、2012年はスナッブノーズのワカメ(研ぎ出し)、2013年はモブスのホワイトコーチドッグが生まれた。

 「さあ、みなさん、何色がいい!?」

 ・・・・・・。一瞬全員黙る。
 みな、想像力をフル回転させて頭のなかでチクタクの着せ替えをする(この瞬間をカメラにおさめたらどんなにこっけいだろう)。アイデアが浮かんだとしても、さまざまな思いが交錯して、ひとすじ縄ではいかない。かっこうよさをもとめ、あふれる気持ちをダイレクトに表明するもの。作り手にとってもチャレンジとなってほしいと願うもの。限定ならではのスペシャル感を欲するもの。当選のために、今はまだ早いと、声をあげるべきピンポイントをさがし流れを見さだめるもの。発せられた言葉だけではない。愛するがゆえ、おのれの希望など口にすまいと沈黙を選んだものもいただろう。
 「レッドヘッド!」
 「ニジマス」
 「クリークチャブっぽいパーチ」
 「ラピュタのイメージで」
 「ボーダー」
 こうして寄せられたイメージのひとつひとつに、内藤氏がコメントを返す。ふだん、ルアーを作ること以外に発信することのないビルダーの思いが垣間見える時間でもある。
 まとまるはずのない話し合いの果てに、バスカラー、が塗られることに決まった。拍手。

 ミーティングも終盤。DINEXボディのオリジナルマグカップのお披露目と、今年のポスターの提供。第1回目からこのポスターを額装し自分の部屋に飾っているという参加者もいて、そうだそうだとうなずいてしまった。あのジャンピングバスのイメージは、ここに集うわれわれの旗印のようなものだから。
 さ、これにてミーティングも終了か、と思いきや、奥の壁をスクリーンにして映像が流される。今日のイベントをスライドショーにしたハイライト。尻尾までサービススピリットがつまっている。
 店の外に出たところで、あ、まだ明るい時間だったっけ、と我に返るのだ。

 と、ここまで書いたのですが、このイベントをレポートするのにはジレンマもある。トーナメントだったら、語るべき勝者(あるいは敗者)のドラマがある。しかしあの日、あの場所で体験し、感じたことは、参加したおのおのによって異なり、不可侵なもので、ぼくらに規則があるとすれば、その価値をたがいに尊重しあうことではないだろうか。だから、ここに書いたことがひとつの側面に過ぎないことは強調しておきたい。

 今は、まだ見ぬブラックバスのチクタクのすがたを想像している。やがてそれが届いたら、ルアーの向こうに、それぞれのあの日を思い出すのだろう。
 「来年もまたみなさんと会いたいです」というビルダーの言葉で解散した。



(Report:ダシヨ)